西安というと、あまり聞いたことがないという人もいるかもしれませんが、長安というと、多少でも中国の歴史を知っている方は分かるでしょう。西安は、以前、長安・西都・大興・西京・京兆・奉元などと呼ばれていて、周や秦・隋や唐など、10位上の王朝の都として栄えてきました。その為、歴史的な観光地や建造物も多くあります。
まず、秦の時代に関係するものとして、始皇帝陵があります。紀元前3世紀に、戦乱の時代を制し、巨大な統一国家を打ち立て、中国史上最初の皇帝となった「秦の始皇帝」が、40年の歳月をかけて作り上げた陵です。西安市内から東へ30kmほどの臨潼区にあり、バスで行くと、「秦始皇帝陵」のバス停で下車するとすぐなので、交通の便も良くなっています。この始皇帝陵と関係するものとして、兵馬俑があり、始皇帝陵から東へ1.5km程の場所に、兵馬俑を見ることができる兵馬俑坑があります。この兵馬俑は、始皇帝陵から伸びる道に沿って、配置されている兵士や馬の素焼きの像なのですが、その数が非常に多く、さらに兵士に関しては、表情や服装もそれぞれ異なっています。何の為に作られたのかは、いまだにはっきりと分かっていませんが、秦の始皇帝に思いを巡らすのも良いでしょう。
西安市内から南へ4kmの場所には、大雁塔があります。大雁塔は、慈恩寺の境内に立つ塔で、648年に建てられたと言われています。現在では西安のシンボルとなっているのですが、建設当初は5層の塔であり、則天武后の時代に10層になり、その後、戦乱などで上部が崩壊して、現在では7層の塔となっています。この塔は、「西遊記」で有名な三蔵法師が、天竺(インド)から持ち帰った経典や、仏舎利などが保存されています。レンガ造りの外観も非常に綺麗で見る価値があるのですが、中に保存されている三蔵法師の仏具も見る価値があります。残念ながら公共の交通機関は近くにありませんので、行く場合はタクシーや観光バスになります。
「大雁塔」より小さいことから、「小雁塔」と名付けられた塔が、西安市内から3km程度の場所にあります。こちらの塔は、則天武后が高宗の冥福を祈る為に建設した薦福寺の中にあり、建設当初は15階建てだったのですが、地震により現在は13階建てとなっています。こちらは、バスで行くことができ、「小雁塔」というバス停の目の前になります。この他にも明の時代に建設された鐘楼や城壁、周王朝時代の宮殿に関係する華清池など、様々な王朝時代の歴史を感じることができます。